2018.07.24

松坂大輔使用で話題のグラブ。
「龍」がもたらすフィット感のこだわり

  • 井上幸太●文 text by Inoue Kota
  • photo by Kyodo News

【連載】道具作りで球児を支える男たち RYU・前編

 4月30日のDeNA戦で、日本球界では12年ぶりとなる復活勝利をあげた松坂大輔。前半戦で3勝を記録し、セ・リーグ先発投手部門のファン投票1位で2006年以来となるオールスター出場も果たした。

 復活のストーリーを紡ぐ”平成の怪物”が使用するグラブには、龍をモチーフとした見慣れないラベルがついている。

「RYUを纏(まと)え。」――。このキャッチコピーを掲げ、2017年7月末から販売を開始した「GLOVE STUDIO RYU」のグラブだ。松坂が中日に移籍後、初登板となった4月5日の巨人戦をはじめ、その後もほとんどの試合でRYUのグラブを使っている。

松坂が使用していることで話題のグラブ「RYU」 販売が開始されて以降、SNS等の口コミを中心にジワジワと認知度が高まっていたが、松坂の使用で人気に火がつき、現在オーダーグラブは約半年待ちの状態。販売開始から、わずか1年で迎えた”大ブレイク”について、ブランドを立ち上げた職人・河合龍一(かわい・りゅういち)は、感謝を込めながらこう語る。

「ブランドを設立するまでに10年以上も構想を練り続けていましたし、クオリティーには絶対の自信があるので、この反響は想定の範囲ではあります。しかし、販売店としてお世話になっている『ますかスポーツ』の社長をはじめ、これだけ多くの方々に支えていただけるとは思ってもいませんでした」

 続けて、河合はブランド設立の経緯をこう振り返る。

「野球部に所属していた学生の頃からグラブの製造に興味を持っていて。将来的に独立して自分のブランドを立ち上げることが、ひとつの夢でした」

 河合は高校卒業後、奈良のグラブ製造会社に就職。ここからグラブ職人としてのキャリアをスタートさせ、グラブ製造に関する一連の技術を磨いていった。

 そして、社員として勤める傍ら、学生の頃から練り上げてきた自社ブランドの構想を実現すべく試作を重ねるようになる。ロゴとブランド名は、自身の名前をもとに「RYU(龍)」とした。

 RYUがはじめて多くの人の目に触れたのが2015年。当時、夏の甲子園終了後に開催された「第27回WBSC U-18 ベースボールワールドカップ」に選出されていた髙橋純平(現ソフトバンク)が、同大会で使用したのだ。