スカウト陣の目がハート。大学選手権に「4カ月後のドラ1」がズラリ (2ページ目)

  • 佐伯要●文 text by Saeki Kaname
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 もうひとり、梅津晃大(4年/仙台育英)はスカウトから「素材は一級品」と言われるようにスケールの大きな投手。最速153キロのストレートとスライダー、カットボール、カーブ、フォークで打者を打ち取る。

 1年夏には10球に1球ほどボールがすっぽ抜けてしまうようになり、一時は投球ができない状況に陥ったが、近い距離のスナップスローを繰り返すなど地道な練習を重ねて克服。昨年秋にリーグ戦初登板を果たした。

 春のリーグ戦は、開幕カードの中央大との2回戦に先発して、敗れはしたが7回1失点の好投を見せた。だが、リーグ戦期間中のオープン戦で右足首に打球を受けて負傷し、その後は登板機会がなかった。

 東洋大の杉本泰彦監督は「大学選手権でも先発は上茶谷と梅津、抑えは甲斐野でいく」と明言。150キロ右腕トリオの全国舞台での活躍が期待される。

 他大学にも、プロ注目の好投手がいる。

 3年ぶりに出場する東海大の146キロ右腕・青島凌也(4年/東海大相模)は質のいいストレートと多彩な変化球を武器に打者を打ち取る。

 2年連続出場の国際武道大の左腕・伊藤将司(4年/横浜)はストレート、スライダーを低めに集め、試合をつくるタイプだ。昨年の大学選手権ではチームを準優勝に導いた。

 富士大の149キロ左腕の鈴木翔天(そら/4年/向上)は出どころが見えにくいフォームからカーブ、スライダー、チェンジアップを投げ分け、打者を翻弄する。

 ただ、この3人はいずれも今春のリーグ戦では不本意な結果に終わっている。青島は冬場のオーバーペースの練習がたたりコンディションを崩して出遅れ、結局リーグ戦は1試合しか登板できなかった。伊藤は左ヒジの違和感でベンチを外れ、鈴木もリーグ戦開幕前にヒジを痛めて登板を回避した。

 幸いにも3人とも深刻な状態ではないという。大学選手権でどんな投球を見せるのか、楽しみだ。

 また、地方リーグの隠れた逸材を全国の舞台で見られるのも大学選手権の楽しみのひとつ。昨年は岡山商大の近藤弘樹(現・楽天)、岐阜経済大の與座海人(よざ・かいと/現・西武)らが大学選手権でその名を全国にとどろかせ、プロの世界へ羽ばたいた。

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