「7番バッター」もドラフト有力候補。そりゃ強いはずだよ、大阪桐蔭 (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 だが、こうした姿勢こそ大阪桐蔭の強さの象徴でもある。藤原が「まとまっていない」と語ってから1年。チームスローガンの「一球同心(いっきゅうどうしん)」を体現する選手たちが、今年も甲子園球場を舞台に躍動している。

 山田は言う。

「大阪桐蔭の背番号をもらっている以上、レギュラーも2ケタ番号の選手も技術が高くて当然だと思っています。そんな選手たちが『チームバッティングをしろ』と言われれば誰でもできる。できて当たり前という雰囲気がチームにあります」

 才能あふれる選手が集まり、チームとしてまとまる。これで強くならないはずがないが、見落とされがちなのは山田が言うように「高い技術」という裏づけがあることだ。西谷浩一監督ら指導陣による、選手の個性に応じた技術指導があるからこそ、大阪桐蔭の選手は高いポテンシャルを開花させていく。

 今冬、山田は打撃フォームの改良に取り組んできた。

「前まではグリップを高い位置に置いていたんですけど、橋本(翔太郎)コーチのアドバイスでトップの近くに置くようにしました。できるだけスムーズにバットが出るようにしようと。バットの芯で捉えられる確率が上がりました」

 大阪桐蔭といえばバットのヘッドを巧みに使って強烈な打球を放つイメージが強い。その点については、山田はこのように理解している。

「西谷先生から『インパクトを大事にしろ』と言われています。でも、余計な力が入っていてはヘッドが使えないので、いかに抜いた状態でボールに力を伝えられるかを考えています。ヘッドをしならせるイメージですね」

 山田の高校通算本塁打は15本(3月28日現在)。そのうちの3本は、今春の対外試合解禁後の8試合で放ったものだ。オフに取り組んだウエイトトレーニングの成果もあり、「下半身を使って打つ」という打法に手応えをつかみつつある。

 また、本人が「才能はないけど頑張りたい」と苦笑するセカンド守備も、着々と成長を見せている。中学時代は主にレフトを守っており、セカンドは高校で初めて経験し、一から取り組んだ。

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