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4タコ&初戦敗退で甲子園を去る
「未来の怪物スラッガー」が残した言葉 (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 なかなか高校2年生のスラッガータイプの口から出るコメントではないだろう。ストレートに照準を合わせ、変化球は体の反応に任せたり、配球を読んだ際にのみ狙うという打者がほとんどのはずだ。そこで、石川に「ストレート待ちはしないのか?」と聞いてみると、こんな答えが返ってきた。

「基本的に変化球を待っています」

 その理由は実にシンプルだった。石川は事もなげに「ストレートが来ないので......」と続けた。

 少年野球時代から注目され、中学ではまともに直球勝負を挑まれることは少なくなった。そして、その流れは高校野球でも続いている。もちろん、直球勝負が「強気の攻め」、変化球勝負が「逃げの一手」などと単純化するつもりはない。

 それでも、中学時代から変化球待ちのスタイルが染みついている石川昂弥という打者に恐ろしさを感じずにはいられない

 試合後、石川は無念さこそ滲ませたものの、涙を見せることなくこれからの課題を語った。

「狙っていた球は来ていたのに、自分のスイングができませんでした。狙い球を一発で仕留められるようにしていきたいです」

 今春センバツでは、初戦で快投を見せた井上広輝(日大三)や重吉翼(日本航空石川)など、華々しく甲子園デビューを飾った2年生投手が目立っている。大会7日目(3月29日予定)には、星稜の本格派右腕・奥川恭伸(やすのぶ)も登場するだろうし、東邦戦では出番のなかった花巻東の逸材右腕・西舘勇陽(ゆうひ)もいる。

 当面は彼らが中心になって世代をリードしていくのかもしれないが、近い未来に石川昂弥の名前が今以上にクローズアップされる時がくるに違いない。

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