4タコ&初戦敗退で甲子園を去る「未来の怪物スラッガー」が残した言葉 (2ページ目)
もちろん、実戦になればホームベースまで踏み込むという極端なことはしない。だが、石川の「踏み込む」という意識の強さがあだとなって、守備妨害につながったことは否めないだろう。
こうして流れに乗れない石川は、凡打を重ねていく。3打席目はボール球になるチェンジアップを当てにいくような打撃でサードゴロ、4打席目もチェンジアップを打ち損じてセンターフライに倒れた。石川は「(田中の)チェンジアップは真っすぐと腕の振りが変わらなくて、待っているつもりでもまだボールが来ない......という感じでした」と完敗を認めた。
東邦打線は石川に限らず、多くの右打者が田中のチェンジアップに手を焼いた。試合後、東邦の森田監督はこんな敗戦の弁を述べている。
「『低めのチェンジアップを見極めなさい』という指示を出していました。ストライクなら打つ、ボールなら見極めなさいと。でも、打ちやすそうに見えるんでしょうね。右バッターが(ボールでも)打ちにいってしまった。結果的に田中くんにいいピッチングをされて、攻略できませんでした」
一方、田中の能力を引き出した花巻東の捕手・佐藤千暁(ちあき)は、試合後にこう語っている。
「東邦の打線が序盤はストレートを意識しているように見えたので、中盤以降はチェンジアップを多くしました。石川くんは体も大きいし一発もあるので、とにかくホームランにならないように気をつけて。高めよりも低めのほうが打ち取れる可能性が高いと思ったので、勝負球は全部チェンジアップでいきました」
相手バッテリーの術中にはまり、手も足も出なかった甲子園デビュー......。そうまとめてしまえば簡単だ。しかし、石川の末恐ろしさを感じる部分もあった。それは、石川が一貫して、田中の勝負球であるチェンジアップを狙い続けていたということだ。
試合前、田中対策を聞いてみると、石川はこう答えた。
「追い込まれるまで変化球を狙っていきたいです」
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