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「左投げサード」で快進撃。
日立一高は21世紀枠で甲子園まで届くか (4ページ目)

  • 菊地高弘●文・写真 text&photo by Kikuchi Takahiro

 清水の内野コンバート直後は「私がスタンドの視線に耐えることができれば大丈夫」と考えていた中山監督だが、清水に内野を任せるようになってすでに1年が経つだけに、チームとしてはもう当たり前の光景になっていた。

 そしていざ試合が始まると、清水が単純なゴロを処理するだけでスタンドからどよめきや拍手が起きることもあった。

「コンバートした当初は余裕がなくて気づきませんでしたが、清水がサードにいると球場の空気が変わるなと気づきました。清水がいいプレーをしたら、『明日から日立市の少年野球チームの左利きはみんなサードになるな!』と話しています。そんな雰囲気に周りの選手も乗っていける効果があるんです」

 今秋の日立一は、決して前評判が高いチームではなかった。ところが、地区予選を突破して県大会に出場すると、初戦で下館一を5対1で破り、次戦は強打線を擁する実力校・水戸葵陵と対戦する。

 1回表に4番・木川静の先制タイムリーを皮切りに、一挙8得点のビッグイニング。技巧派サイドスローの1年生右腕・綿引駿の好投もあり、強敵相手に10対3で7回コールド勝ちを収めた。

 さらに名門・水戸商と激突した準々決勝では、清水が先発マウンドに上がる。

「夏が終わってから打ちにくいフォームを研究していたんですけど、前よりも腕が振れるようになりました。サードやセカンドを経験したことでフィールディングや牽制球もうまくなりましたし、内野手の心理がわかるようになったのもプラスだと思います」

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