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「左投げサード」で快進撃。
日立一高は21世紀枠で甲子園まで届くか (2ページ目)

  • 菊地高弘●文・写真 text&photo by Kikuchi Takahiro

 一般的に、左投げの選手が守るポジションは投手、一塁手、外野手に限定される。茨城高校球界きってのアイデアマンとして知られる中山監督にとっても、左投げの内野手は「苦肉の策」だった。だが、中山監督は次第に清水の内野起用に手応えを覚えるようになっていく。

 当初、中山監督の頭の中にあったのは、以前に鷲宮(埼玉)にいた左投げのセカンドだった。鷲宮の柿原実監督は日本体育大の後輩でもあり、「左投げセカンドの極意」を柿原監督から聞くことができたという。中山監督は言う。

「二塁ベース付近のプレーさえ対処できるようになれば、意外と左投げということが有利になることがわかってきました」

 たとえばセカンドゴロで併殺をとる場合。右投げのセカンドは、捕球後に二塁方向へ体を切り返してから送球動作に入らなければならない。しかし、左投げの場合は捕球してから送球まで一連の動作を流れるようにこなせる。また、ライトからの中継プレーの際も、打者走者の動きを見ながらカットに入ることができる。

 意外なメリットがあるにもかかわらず、なぜ左投げのセカンドはほとんど存在しないのか。それは中山監督の言う「二塁ベース付近のプレー」の難しさにつまずいてしまうからだ。

 サードゴロやショートゴロで併殺をとる場合はセカンドが二塁ベースカバーに入るが、左投げのセカンドだと送球を受けてからの動作が大きすぎる。送球を捕球し、クルッと270度右回転して一塁に投げなければならない。さらに、回転してから正確に投げるプレーそのものの難易度が高い。

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