2017.08.11

杉谷拳士が振り返る、帝京vs智辯和歌山
「たった1球の敗戦投手」

  • 元永知宏●取材・文 text by Motonaga Tomohiro
  • photo by Jiji photo

 100年以上の歴史を誇る夏の甲子園で、名勝負と呼ばれるものはたくさんある。「甲子園史上最も壮絶な試合」と言われる2006年の帝京(東京)対智辯和歌山(和歌山)もそのひとつだ。最終回、もつれにもつれた強豪校同士の一戦のカギを握っていたのは帝京の1年生ショートだった。

 現在、北海道日本ハムファイターズで活躍する杉谷拳士は『敗北を力に! 甲子園の敗者たち』(岩波ジュニア新書)で2006年夏の戦いについて詳しく回想している。逆転打を放ちながら、たった1球で敗戦投手になった15歳は、あのとき、何を思ったのか?

まさかのサヨナラ負けに号泣する帝京ナイン。右から2人目が杉谷拳士初めての夏なのに「ラストチャンス」の重圧

――実力のある選手が揃う帝京で、杉谷選手は入学後すぐに抜擢され、1年生ながらショートで起用されました。

杉谷 すごい選手がいるなかで、「どうして僕が?」と自分でも思っていました。おそらく、技術うんぬんではなく、気持ちの部分を評価してもらったのでしょう。もちろん、僕よりうまい選手はたくさんいました。それでも僕を使ってくれたことに感謝しています。「2年かけて育ててやろう」という前田三夫監督の期待も感じました。僕の取り柄は勝ち気なところ。結果を恐れることなく果敢に攻めることだと思っていました。