坂本勇人を育てた名将が、フルスイングで茨城の盟主・常総学院に挑む (2ページ目)
今年のチームは、「ここ最近でいちばん力のない世代。狭間だと思っていました」と、金沢監督は話す。ところが、昨年秋、今年の春と茨城大会を制して関東大会出場を果たし、春の県大会2回戦では、金沢監督就任以降、一度も勝ったことがなかった常総学院に7対0で7回コールド勝ちを収めた。
「各年代でいろんなカラーやレベルの違いはあるけど、どの年でもトップを狙う雰囲気、練習内容は仕上がってきました。今年は真面目な子が多い分、その努力が秋、春に実ったという形です」
金沢監督はそう就任6年目の手応えを語る。一方で「断トツの優勝候補なんて言われたりしますが、全然そんなことはない。(サザンオールスターズの)『夏をあきらめて』って曲を歌おうかなと思っているくらいです」と、冗談まじりに話す。
「練習量と技術指導でこれくらいのレベルまでには来ることができます。でも、今日のノックを見てもらってもわかるように、甲子園への壁を破るための意識だったり、勝負の本質の部分がまだありません」
関東大会では、秋は健大高崎(群馬)に1対8、春は作新学院(栃木)に2対17と、いずれも甲子園常連校に完敗を喫した。甲子園に近づいてはいるが、目の前に立ちはだかる壁を越えられない現実もある。中学時代から勝利の味を知り、甲子園常連校に集まった選手たちとは見えない意識の差があると考えている。
この部分を練習で追求できなければ、試合でその差を埋めることなど到底できない。だからこそ、冒頭で紹介した一場面のように、ノックひとつにしてもその部分を徹底して追求している。
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