地方大にもいる今秋ドラフト候補の逸材たち。大学野球選手権が開幕

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 大学野球の日本一を決める第65回全日本大学野球選手権大会が6月6日から神宮球場と東京ドームで開催される。

 今年の大学選手権は突出したチームはなく、群雄割拠の様相を呈している。例年、東京六大学リーグと東都大学リーグの代表が優勝候補に挙がるが、今年は明治大も亜細亜大も圧倒的な戦力ではなく、チームのまとまりと粘りでそれぞれのリーグ戦を勝ち上がってきた。

大学ナンバーワン野手との呼び声が高い中京学院大の吉川尚輝大学ナンバーワン野手との呼び声が高い中京学院大の吉川尚輝

 また、今秋ドラフトの目玉である田中正義(創価大)は右肩痛のためシーズン途中で離脱。失速した創価大は大学選手権に出場できなかった。昨年準優勝した流通経済大のように、流れをつかんだチームが一気に上位に進出する可能性も十分にある。

 そんな波乱含みの今大会で、特に注目したい有望選手をプロ野球のドラフト対象の4年生を中心にピックアップしてみたい。

 今秋のドラフト1位候補として早くも名前が挙がる投手は、柳裕也(明治大4年)だ。

「春先のオープン戦で見たときは今ひとつという印象だったのが、シーズンに入ったらガラッとよくなりました。すごく腕が振れているし、カーブのキレも素晴らしい。ストレートは140キロ前後でも、球持ちがいいピッチャーなので、バッターが完全に振り遅れています」(広島・苑田聡彦スカウト統括部長)

 決して派手さはないのだが、総合力の高さが魅力。また、テークバックがコンパクトで、体重移動をしっかりとして、しなやかに投げ下ろす。そんな伝統的な横浜高校出身らしいフォームだ。すでにプロの先発投手として活躍できる力を持っている。

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