「九州の清宮」九州学院・村上宗隆が捕手として急成長している!

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 4月6日、東京都大会の2回戦で清宮幸太郎を擁する早実が敗れたのには驚いた。とはいえ、こういうことは高校野球によくあることで、次に見に行こうと思っていた選手がひとつ前で負ける......夏の予選など、これで何度痛い目にあったことか。高校球児が隠し持っている潜在能力を発揮するのは、いつも公式戦の大舞台だ。

昨年夏の甲子園では「4番・一塁手」として出場した九州学院の村上宗隆昨年夏の甲子園では「4番・一塁手」として出場した九州学院の村上宗隆

 早実戦で先発した都立昭和の左腕・田舎凌(いなか・りょう)投手は、清宮に対し徹底して外角で勝負した。難攻不落の強敵を沈める唯一の方法は、相手の嫌がることをしつこく、辛抱しながら続けること。そうした "根気"をどこまで維持できるかが、成否を分けるのだ。

 その早実敗退の5日前、私は春季高校野球・熊本県大会が開催されている藤崎台球場にいた。センバツの取材を終えると、毎年、九州へ渡る。センバツ開幕とほぼ同時にスタートする九州各県の春季大会で、躍動する選手たちを追いかけるためだ。

 鹿児島、宮崎を経て、熊本に大移動してきた最大のお目当ては、九州学院・村上宗隆だった。

 すでに昨夏の甲子園で"1年生・4番"として出場し、清宮とともに注目を集めた逸材である。甲子園では1回戦で敗れたが、村上のバッティングには才能の片鱗がキラリと光っていた。

 大会屈指の右腕と評されていた遊学館の小孫竜二(現・創価大)を本気にさせた、村上のスイングとバットコントロール。

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