「九州の清宮」九州学院・村上宗隆が捕手として急成長している! (2ページ目)
140キロ前半のストレートとスライダー、さらにフォーク、ツーシームと、すべての持ち球を駆使し緩急をつけて勝負してきたが、村上は空振りをしない。結果的に無安打に終わったが、第3打席でスライダーをセンターに痛烈なライナーで弾き返した打球は、清宮にも引けをとらない"技術"を見たような気がした。
昨年夏の熊本県大会1回戦の第1打席でバックスクリーン横に満塁ホームランを放つなど、豪快なホームランバッターというイメージがあったが、実際に甲子園で見たときの印象は、清宮同様、パワーだけでなく卓越したバッティング技術も兼備した天才系のスラッガーだった。
そしてこの春、春季大会準々決勝の熊本国府戦。ライト前ヒットを放った最初の打席から脱帽ものだった。
捕手の要求どおりにきたインコースの球をとっさにクルッと体を回転させ、ヘッドをタテに入れるようにさばいた一打。試合開始直後の第1打席で、しかもファーストストライク。緊張もあるだろうし、試合感覚もまだ不十分な場面で、これだけ完璧に高難度のバッティングができるのは、それだけで"天才"だ。
そのあと、四球をはさんでライト前ヒットを2本。村上がいいのは、振りすぎないことだ。そして、いとも簡単に快打を放つ。この2つの要素は、清宮と共通項だ。
清宮と同じように力みのないスイングで、ライト前にも打てれば、場外弾も放ってみせる。本気になれば、ホームランなんていつでも打てる......村上はそんな"余力"を隠し持っている。
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