「九州の清宮」九州学院・村上宗隆が捕手として急成長している！ (3ページ目)

　この日２本目のライト前は、右投手のスライダーをソフトに捉えたもの。３本目のライト前は133キロの内角速球を、やはりふんわりと捉えたように見え、いずれも全力で振ったらファウルになっていただろう。

　じつはこの試合で、いちばん驚いたのが最終の第５打席。沈む系のボールの落ち際をボールの内側から捉えた一打は、遊撃手が顔をそむけながら捕球した痛烈なライナーとなった。インサイドアウトのスイングが本能として身についているからこその、まさに“大人の打球”だった。

　話はこれだけでは終わらない。夏の甲子園が終わってから、村上がマスクをかぶっているという話は聞いていたが、実際に見て、驚いた。たしかにバッティングも驚いたが、むしろ捕手としての守備ワークのほうがキラキラ光って見えた。

　まずは正確なスローイング。シートノックのボール回しに、イニング間の際に行なう二塁への送球、そして試合での盗塁阻止。この日、投げたすべての送球がストライクだった。しっかり腰を割り、左肩で標的を見定めたスローイング姿勢。きれいにタテに振り抜ける軌道から、指のかかりにもムラがなく、投手にたとえるなら“球持ちのいい”タイプ。よくいる強肩自慢の“力任せ”タイプではなく、高い実戦力を伴った鉄砲肩だ。もちろん、187センチ、93キロの雄大な体を小さくまとめて動けるメカニズムも搭載されていて、アクションに無駄がない。