やんちゃ軍団をやる気にさせた高松商・長尾監督の対話術 (3ページ目)

  • 田尻賢誉●文 text by Tajiri Masataka
  • 岡沢克郎●写真 photo by Okazawa Katsuro

「中学で活躍した子ばっかりが来てるんですよね。彼らはプライドが高いから、『何でオレを外すんだ』とか、不貞腐れる態度もとる。客観的に自分を見られない子が多い。『お前のそのプレーはチームに迷惑をかけるよ。だから、試合には使えんよ。メンバーには入れないよ』ということが、なかなかわからないですよね。高校生だからわかると思ってたんですけど、話をしてやらないとわからない。ガーンと言われたら理屈じゃないんです。やらなきゃいけないになる。それは頭で考えてない。反応です。そこで僕は話をする」

 背番号10の外野手・大熊達也は、中学時代に5番打者として全国大会に出場している。長尾監督からすれば、プライドの高い選手のひとりだ。秋の公式戦は全12試合に出場。外野手では1番の安西翼に次ぎ、2番目に多く打席に立っている。だが、背番号は2ケタ。今大会は4打数0安打で準決勝、決勝は出番なく終わった。長尾監督は、「アイツはおもしろくないはず」と言う。だが、大熊はしっかりと準備をしただけでなく、ベンチで声を出していた。大熊は言う。

「自分は結構、不貞腐れるので怒られていました。でも、監督は怒鳴ったりしない。話を聞いてくれるんです。怒る前に何でそうなのかを聞いてくれる。それが今までの指導者と違いますね。出番が少なかったですけど、くよくよしとったらラチがあかないんで。前向いてしっかりやろうと思ってました。前までだったら、ずーっと黙り込んでたと思いますし、表彰式のときも不機嫌な態度を取ってたと思います」

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