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やんちゃ軍団をやる気にさせた高松商・長尾監督の対話術 (2ページ目)

  • 田尻賢誉●文 text by Tajiri Masataka
  • 岡沢克郎●写真 photo by Okazawa Katsuro

「ガツンと言わなきゃわからない子たちがたくさん入ってきた。肩で風を切っいてるような、やんちゃな子たちがね。その子らがあの子(今回の甲子園メンバー)たちなんですけど......。高校に来て、4月に(部員の生活態度が悪く)他の先生から『何だアイツら』『野球部はダメだ』と野球部の悪口ばっかりずーっと聞きました。高校生だから(叱らなくて)いいと思ったら、犬伏(英人)部長から『そうじゃない』と言われたんです」

 ただ、長尾監督自身はガミガミ言うことはなかった。

「部長がガツンと言っているのを見て、僕もガツンと言ったら、コイツら行き場がなくなるなと。認めてやった方がいいというのもあって、どちらかというと、コイツらを信じて長い目で見ようと。金八先生の歌じゃないけど、人を信じて傷つこう。オレが傷つくならええかと」

 ガツンとは言わないが、指導はする。「そこはスパイクで上がるところじゃないだろ」「ここにゴミ捨てていいのか」「勝ったら学校生活は何してもええんか」......。事あるごとに選手を呼んで対話をくり返した。怒られて下を向いている選手には前向きな言葉をかけ、叱られているのに平気な顔をしている選手には、叱られた理由を説明して下を向くことも必要だと教えた。

 他校の指導者曰く"香川県のドリームチーム"。県内の中学校のエースで4番が集まる高松商のやんちゃ集団には、頭ごなしに否定せず、対話重視のスタイルがマッチした。

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