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レジェンド社会人・西郷泰之の伝言「死に物狂いで野球をやろう」 (5ページ目)

  • 中里浩章●文 text by Nakasato Hiroaki
  • 甲斐啓二郎●写真 photo by Kai Keijiro

―― 最後のシーズンとなった15年のチームはどんな印象でしたか。

「実力のある選手ばかりで、優勝できるだけの力は持っていたと思います。ただ都市対抗は2回戦で敗れて、秋の日本選手権は準優勝。決勝は1点差の惜敗でしたが、やっぱり優勝するチームとそうでないチームの差は相当あると思うし、何かが足りなかったんだと思いますね」

―― 西郷さんは都市対抗決勝での戦績が6勝0敗で優勝請負人とも言われていましたが、優勝チームに何か共通していたものはありますか。

「チームの中にいても、まったく負ける気がしないんですよね。どんなに点差をつけられようが、どんなにピンチになろうが、全員が『大丈夫だ』って思っている。ベンチを見ても諦めている選手は誰もいないし、首脳陣やベンチを外れてしまった選手も含めて全員がひとつになって相手に向かっている印象があります。おそらく、そういうものが形となって表れるんじゃないですかね。夏秋連覇を達成した日本生命を見ても、それは強く感じました。選手ひとりひとりが本当に自信を持っていて、チームとして何かを成し遂げようという力を感じました。それぞれが何をすればいいのか分かっているからチームの流れが良くなっていって、個の力にチームの力がプラスされていく。そういうチームって、やっぱりグッと上がっていきますよね」

―― これからの社会人野球界を背負っていく後輩たちへ向けて、何か伝えたいことはありますか。

「自分の殻だけに閉じこもってほしくはないですね。いろいろな世界を見ながら勉強をして、頂点を目指して必死になってやってほしい。やっぱり自分もそうですけど、今まで引退した選手のほとんどは絶対に『まだまだやりたい』っていう想いがあったと思うんです。満足して辞めていった選手なんて、本当にごく一部。そういう想いがありながら辞めていく選手が毎年いるわけですから、現役選手には死に物狂いでやってほしいですし、上を目指してできるところまでやってほしいですね」

(後編に続く)

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