横浜高、夏王者の東海大相模に雪辱。
受け継がれた「伝統の守備力」

  • 柳川悠二●文 text by Yanagawa Yuji
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 今年、どこよりも長い夏を過ごした東海大相模が、新チームとなって臨んだ秋季神奈川大会準々決勝で姿を消し、来春の選抜出場が絶望的となった。

東海大相模を相手に8回1失点、10奪三振の好投を演じた横浜高の藤平尚真東海大相模を相手に8回1失点、10奪三振の好投を演じた横浜高の藤平尚真

 相手は、しのぎを削り合ってきた長年のライバル・横浜高である。同一カードだった夏の神奈川大会決勝において、0−9の大差で敗れた横浜高は、50年近く同校で指導した渡辺元智監督(70歳)が勇退し、平田徹監督(32歳)が就任。それからわずか2カ月弱で、雪辱を果たしたわけである。新生・横浜高の船出としてはこれ以上ない結果となった。平田監督は言う。

「(東海大相模は)甲子園の決勝戦まで戦ったチームですから、新チームの始動という点では、うちにアドバンテージがあった。選抜に行くという目標の中で、『できれば東海大相模とは当たりたくない』という心持ちではなく、直接対決で叩いて行きたいという気持ちがありました」

 東海大相模の先発は北村朋也。一方の横浜の先発は藤平尚真。ともに180センチ台の身長から140キロ台中盤のストレートを投げ、スライダーに切れのあるタイプの好投手である。

 試合は中盤まで両投手の好投が光ったが、先に得点を奪ったのは横浜だった。5回表、中学時代にU--15日本代表の経験がある1年生の増田珠(ますだ・しゅう)がチームとして2本目のヒットで出塁すると、昨年夏から試合に出場する3番・公家響(くげ・ひびき)がライト前に先制のタイムリーを放つ。6回にも1年生捕手・福永奨のタイムリーツーベースでリードを2点に広げた。

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