【高校野球】攻撃力は昨年以上。3連覇を狙う大阪桐蔭に死角はあるか?

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • 小内慎司●写真 photo by Kouchi Shinji

昨年からマスクを被り、春夏連覇に貢献した森友哉。新チームではキャプテンを務める昨年からマスクを被り、春夏連覇に貢献した森友哉。新チームではキャプテンを務める 3月22日から甲子園球場で第85回センバツ高校野球大会が開催する。もちろん注目は、史上初の3季連続優勝を狙う大阪桐蔭だ。初戦は大会7日目、遠軽(北海道)といわき海星(福島)の勝者と戦うことになった。出場36校中ラストの登場となるわけだが、これが大阪桐蔭にとっては最高の日程となった。

 なぜなら、昨年秋の大阪大会で急成長を遂げ、近畿大会から背番号1をつけた葛川知哉(くずかわ・ともや/右投右打)が今年1月3日に右足をひねり、小指のつけ根を骨折。すぐに手術を行なったものの、センバツに間に合うかは微妙だった。だが、そこから懸命の治療と、松葉杖をついている間も椅子に座りながらキャッチボールをするなど調整を重ね、ようやく2月26日にブルペン入り。そして3月13日に練習試合で実戦復帰を果たし、何とか本番に見通しがついた状況だった。それだけに「1日でも遅い登場を......」というチーム関係者の願いが叶った結果となった。

 日程には恵まれた大阪桐蔭だが、同じブロックには強豪校がひしめき合う。今大会の注目投手、150キロ右腕の安樂智大(あんらく・ともひろ/右投左打)を擁する済美(愛媛)がおり、その済美と対戦するのが甲子園で過去3度の優勝を誇る広陵(広島)だ。さらに、昨年夏の甲子園で大阪桐蔭を苦しめた大竹耕太郎(投手/左投左打)の濟々黌(熊本)もいる。

 その他にも、ブロックは違うが、ドラフト候補のスラッガー・上林誠知(うえばやし・せいじ/外野手/右投左打)を軸に圧倒的な攻撃力で昨年秋の神宮大会を制した仙台育英(宮城)や、関東王者の浦和学院(埼玉)の評判も高い。

 ただ、こうした注目校との対戦も楽しみではあるが、大阪桐蔭にとって重要なのが初戦だ。「春も夏も初戦がいちばん難しかった。そこをひとつ勝ったら、あとは負ける気がしなかった」とは昨年のエース・藤浪晋太郎(阪神)の回想だが、今回の初戦の相手はどちらにしても1回戦を勝って勢いに乗ってくるだけに気が抜けない。

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