【高校野球】攻撃力は昨年以上。
3連覇を狙う大阪桐蔭に死角はあるか? (2ページ目)
その大阪桐蔭だが戦力的にはどうなのか。大黒柱だった藤浪が抜けただけでスケールダウンしたという声も聞くが、総合力では春夏連覇を達成した昨年のチームと変わらないだけの力を持っている。なかでも注目は攻撃力だ。昨年は核弾頭として連覇に貢献し、今年のドラフト上位候補の森友哉(捕手/右投左打)が3番に入り、4番には秋の公式戦で出場選手トップの打率.511をマークした近田拓矢(きんでん・たくや/内野手/右投右打)、そして5番は昨年の甲子園で3本塁打を記録した笠松悠哉(内野手/右投右打)。このクリーンアップを中心に秋は11試合で109得点を叩き出し、うち9試合はコールド勝ちという凄まじさを見せつけた。
2月まで後輩たちの練習を手伝い、この春から亜細亜大に進む旧チームの主将だった水本弦は、「はまった時の迫力は間違いなく僕たちのチームより上。もっとしぶとく得点できるようになったら、本当に手がつけられない打線になると思います」と太鼓判を押す。
また、鍛え上げられた守備力は今年も健在で、昨年秋には各選手ふたつのポジションを守らせるなど、さらなるレベルアップを図った。「守備に関しては、冬場にもう一度しっかり鍛え直しましたし、この春には相手に点を与えない守りを実践したい」と西谷浩一監督も手応えを感じている。
唯一、気になることがあるとすれば、やはり投手力だ。期待も込めて葛川が「1」を背負うが、骨折によって走り込みも、投げ込みも絶対的に不足しており、1試合をひとりで任せたり、連投といった使い方は厳しくなるかもしれない。そうなると、新チーム結成時はエース番号を背負っていた高西涼太(右投右打)、昨年のセンバツもベンチ入りしていた網本光佑(あみもと・こうすけ/左投左打)がどこまで葛川をサポートできるかがカギとなる。
特に高西は西谷監督の期待も大きく、「ボール自体は葛川よりも上」と評価する。これまでは実戦のマウンドになるとなかなか力を発揮できず、不甲斐ない投球が続いていたが、女房役の森が「高西の力を引き出すのが僕のいちばんの仕事」と語るように、3連覇達成のために高西の活躍は欠かせない。冬場の厳しいトレーニングを乗り越え、どこまで肉体的、精神的に成長しているか。チームはもちろん、打倒・大阪桐蔭を目指す学校にとっても気になるところだ。
果たして、史上初の3季連続優勝を達成するのか、それとも大阪桐蔭の甲子園での連勝を止めるチームが出てくるのか。注目の大会が間もなく始まる。
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