【WBC】本国在住はひとりだけ。スペイン代表のチーム事情

  • 山本美智子●文 text by Yamamoto Michiko

 スペインでは、サッカーと比較するとベースボールという名のスポーツは知名度の低い競技なのだが、野球のスペイン代表チームはしっかりと存在している。

 実際、今回のWBCにスペインも参戦したのだが(すでに敗退)、この28人からなるスペイン代表の中でスペイン在住であるのは、テネリフェ出身のエリック・ゴンサレスたったひとり。

 残りの選手はキューバ、サントドミンゴ、ベネズエラ、そして、アメリカ(カリフォルニア、デンバー、フロリダ、はたまたニューヨーク出身者など)の選手で構成されている。過去にスペイン人の祖先がいたケースがほとんどで、スペインがどこにあるかを知っていて、夏休みを過ごしたことがある、というぐらいの選手が「スペイン代表」になっている。

 アメリカのウォールストリートジャーナルが、アメリカ生まれの4人のスペイン代表選手にスペインに関する知識をテストしたところ、4人揃って、マリアノ・ラホイ(現在のスペイン首相)、ドン・キホーテ(小説)、フランシスコ・ゴヤ(画家)の名前を知らず、その一方で全員がパエーリャの材料を正確に答えたという。

 いずれにせよ、スペインはWBCに正式に参加を認められた代表チームのひとつ。今回のWBCが、アメリカやキューバほどのベースボール文化がないスペインで、野球ファンを増やす新たなきっかけとなるのだろうか。

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