【ドラフト】プロスカウトが語る、「空白の1年」を過ごした菅野智之の現評価 (3ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • 荒川祐史●写真 photo by Arakawa Yuji

「他球団の指名を阻止する行為」「東海大学側からの恫喝(どうかつ)」と、このコメントに批判が集まった。

 だが、4年間、いや今年も加えれば5年間、菅野を手塩にかけて育ててきた監督からしてみれば、2年も実戦から遠のかせることはできない。そういう思いから、自らが盾(たて)になっても、来季の実戦の場を与えようとする親心。いや、そんなものじゃない。「菅野に来年、野球をやらせてやってくださいよ!」という悲鳴にも聞こえてきた。

 間違いなく、菅野は3度のメシよりマウンドで投げているのが好き。かつてこんなことがあった。珍しく走者ふたりを背負った菅野だったが、この時、彼はマウンドで何をしていたか? 「どうしましょう……」と情けない顔で横井監督を見るのではなく、菅野が見ていたのは相手ベンチだった。打席に向かう打者にアドバイスをする相手の監督を凝視している。その時の気迫溢れる表情は今でも忘れられない。

 マウンドを支配できる投手――そんな称号に彼ほどふさわしい投手は、今年のドラフト候補の中に見当たらない。果たして菅野は、来年、自らが最も輝ける実戦のマウンドに立つことができるのだろうか。

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