投打で存在感。東邦の「エースで4番」藤嶋健人は投手か、野手か?

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 藤嶋健人(ふじしま・けんと)は投手なのか、打者なのか――。

 今春センバツの注目選手のひとり、東邦(愛知)のエースで4番打者、藤嶋健人は投打両面で高い能力をもっている。

 ただし、大谷翔平(日本ハム)のように、投打とも文句なしの素材......というわけではない。それぞれに長所だけでなく、弱点も抱えている。それだけに今後も投手として次のステップに進むべきか、それとも野手として腕を磨くべきなのか、判断が難しく、悩ましい。

強打の関東一高打線から11三振を奪った東邦のエース・藤嶋健人強打の関東一高打線から11三振を奪った東邦のエース・藤嶋健人

 3月22日の関東一(東京)とのセンバツ初戦で、藤嶋は投打に存在感を放った。投げては粘っこく嫌らしい打者がそろう関東一打線をわずか被安打1に抑え、11奪三振、無失点。打っては初回のチャンスにレフトへ強烈なタイムリーヒットを放ち、これが決勝点になった。

 試合後、関東一の正捕手・佐藤佑亮は藤嶋についてこう語った。

「想像以上にいいピッチャーでした。秋の映像を見たときは変化球中心の配球だったのが、今日はストレートで押してきて惑わされました。球速も上がっていて、食らいつこうと思ったけど、速くて手が出ませんでした」

 佐藤佑はそう証言したが、この日の藤嶋のスピードは速くても140キロを少し超す程度。昨秋までの最高球速である146キロには遠く及ばなかった。藤嶋本人も試合後、「今日は球速が出ていないと思ったので、コントロール重視でいきました」と語っているように、ストレートの凄みはスタンドから見ていても感じられなかった。

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