反重力か? 武田翔太の「2回曲がる変化球」に大谷翔平も驚愕

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

ソフトバンク武田翔太インタビュー(後編)

インタビュー前編はこちら

 高卒1年目の2012年に8勝を挙げ、華々しくプロでの一歩を踏み出した武田翔太(ソフトバンク)。しかし、2年目は4勝、3年目は3勝にとどまる。2年目の不調の理由は表向き「疲労」とされていたが、実際は違った。右肩が悲鳴をあげていたのだ。

「肩が痛いと言えませんでした。(二軍に)落ちたくないという気持ちが大きかったし、周りから期待されて、変な責任感を持っていて......。バカだったなと思います」

今季、自己最高の13勝をマークした武田翔太今季、自己最高の13勝をマークした武田翔太

 病院や整体に通い、だましだまし肩の状態を維持する日々。そんなときに、肩治療の権威である久恒病院の原正文医師から、こんな言葉をかけられる。

「今が大事なのか? ここから先、何年投げると思ってるんだ。この1年で成績を残しても、この先がなかったら意味ないだろう。どっちを取るか、自分で選べ」

 そして武田が選んだのは「この先」だった。しっかり治療して、必ずパワーアップして帰ってくる――。そう決意した武田は、久恒病院で治療しながら、肩周りの構造について徹底的にレクチャーを受けた。

「ここの筋肉は何ミリ以上の厚さがないとケガするよとか、ここが疲れてくると2週間でケガするとか、筋肉のつき方やトレーニングについて、詳しく教えてもらいました」

 2年目のシーズン途中から肩の治療、強化、勉強に専念した武田は、ようやく傷の癒えたプロ3年目の三軍戦で、約半年ぶりにマウンドに立つ。そして、いきなり153キロをマークした。

「本当はもっと早く復帰できたはずなんですけど、投げたら1球目に脇腹を痛めて、うわぁ~って(笑)。肩周りは強化できていたんですけど、このスピードに体がついてこられなかったんです」

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