柳田悠岐のフルスイングはいかにして完成したのか?

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • 牛島寿人●写真 photo by Ushijima Hisato

 現在、ソフトバンクの柳田悠岐は、打率.374(リーグ2位)、本塁打17(同5位)、盗塁16(同3位)と初のタイトル奪取はもちろん、史上9人目のトリプルスリー(3割、30本塁打、30盗塁)も十分可能な位置につけている(成績はすべて7月13日現在)。トリプルスリーといえば、かつて本人から聞いた言葉が印象に残っている。

西武・秋山翔吾とハイレベルな首位打者争いを繰り広げている柳田悠岐西武・秋山翔吾とハイレベルな首位打者争いを繰り広げている柳田悠岐

 5年前の秋。ソフトバンクからドラフト2位指名を受けた数日後、広島経済大学のグラウンドで取材した時のことだ。地方リーグながらずば抜けた身体能力を持ち、当時、日本ハムの「糸井嘉男(現・オリックス)二世」と呼ばれていた男に、「将来はトリプルスリーを狙いたいか?」と聞くと、柳田からこんな答えが返ってきた。

「3割、30本、30盗塁より......僕は1番という打順が好きで、1番やのにホームランが37本! でも、打率は2割7分みたいな......そんな選手になりたいです。そっちの方が格好よくないですか?」

 さらに、プロフィールの確認のために身長と体重を聞くと、「身長は187.2センチ、体重は89.8キロ」。50メートル走のタイムと遠投についても「50メートルは5秒94で、遠投は調子がいい時で125メートルです」と、とにかく細かい数字を出してきたのだ。

 この時、柳田悠岐という選手の個性に触れたような気がした。それと同時に、プロでの活躍の予感が広がったことも確かだった。

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