侍ジャパン、試合を決めた山田哲人の読み。西山秀二が選んだ韓国戦の陰のMVPは?

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by JMPA

 野球日本代表「侍ジャパン」は8月4日、東京五輪の準決勝で韓国と対戦。3回に坂本勇人の犠牲フライで1点を先制すると、5回には吉田正尚のセンター前タイムリーで1点を追加。直後の6回表、好投を続けていた先発・山本由伸が1点を取られて降板、2番手の岩崎優がキム・ヒョンスにセンター前タイムリーを許して2対2の同点とされた。その後はこう着状態になったが、8回裏、山田哲人の3点タイムリー2塁打で勝ち越し。最後は栗林良吏が締め、5対2で韓国を下して決勝進出を決めた。熱戦を制したポイントはどこにあったのか。野球解説者の西山秀二氏に聞いた。

完璧なリリーフで日本に流れを呼び込んだ伊藤大海完璧なリリーフで日本に流れを呼び込んだ伊藤大海この記事に関連する写真を見る── 8回二死満塁のチャンスをつくり、山田が初球を仕留めて決勝点が入りました。

「その前に満塁になったのが甲斐(拓也)へのフォアボールでしたので、山田のなかでストライクをとりにくるだろうという意識があったと思います。しかも相手は真っすぐ中心のピッチャー。ストライクゾーンにきたら初球からでも振っていこうと決めていたと思います。それを1球で仕留めたのはさすがでした」

── この8回の攻撃ですが、韓国は一死一塁から近藤健介選手のファーストゴロで併殺をとれずに日本はチャンスが残りました。

「簡単にゲッツーをとれる場面でした。普通、一塁カバーに入ったピッチャーはベースに右足をかけて捕球するのですが、それができなかったということは22歳のコ・ウソクに焦りがあったのでしょう。その後、パスボールと申告敬遠で二死一、二塁となり、9番の甲斐にはストライクをとりきれず、歩かせてしまった。そして山田を迎えるわけですが、余裕のあるピッチャーなら変化球から入る場面ですが、それができなかった。韓国投手の若さが出ましたね」

── 先発の山本由伸投手はどうでしたか。

「立ち上がりは緊張しているのか、少し硬さがありました。ただ、序盤に先制点をもらい、だいぶ余裕が出ましたね。その後はシーズンどおりのピッチングでした」

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