大砲不在のロッテが掲げる「コツコツ得点野球」は通用するのか

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Kyodo News

 ロッテは今季のバッティング方針を、「コツコツと点を重ねること」と発表しているが、長いシーズンを戦う上でホームランによる得点はチームに勢いをもたらすし、なにより大量点を期待できるのではないか。そのことについて山下徳人野手総合兼打撃コーチに聞くと、静かな口調で話し始めてくれた。

デスパイネが去り、和製大砲として期待がかかる井上晴哉だが......デスパイネが去り、和製大砲として期待がかかる井上晴哉だが......「チームとしてホームランを前面に......という考えはありません。ホームランって、特別な選手に与えられたものと思っていますので。極端な話をすれば、ホームランはゼロでもいいんです。ホームランを狙うとバッティングが粗くなって崩れてしまいますし、チームとしても出塁率4割の選手が揃った方がいい。選手たちに要求しているのは、まず出塁すること。そして次へつなぐことです」

"大砲"のいないラインナップを見れば、山下コーチのいう「ホームランは必要ない」ということがよく理解できる。実際、チーム本塁打数は昨年まで2年連続でリーグ最少を記録している。引き続き、山下コーチに聞いてみた。

── 優勝を考えた場合、ホームランの増加はポイントになるのではないと思うのですが......。なにより、昨年チーム最多の24本塁打を放ったデスパイネ選手と、チーム2位のナバーロ選手(10本塁打)が抜けたのは大きいと思います。

「結局、デスパイネにしても、人並み外れたスイングスピードや、打球の速さのインパクトはありましたが、打率.280、24本塁打の選手ですよね。出塁率が高くなれば、打率も上がります。打者のタイプによっては、そのことでホームラン数も自然に増えるかもしれません。そういう意味で、ホームランの可能性としては、新外国人のダフィとパラデスでしょうか。彼らはデスパイネに近づけるかもしれないし、上回るかもしれません」

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