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【自転車】30歳の畑中勇介が語る「2歳年上・土井雪広」という存在 (3ページ目)

  • 西村章●構成・文 text by Nishimura Akira  photo by Sportiva

「どの世界にも、ああいう先輩がいますよね。選手として強いのはもちろん、たくさんの経験もある。ただそれだけに、土井さんが先に行ってしまって、それを皆が後ろから必死になって追いかけていくような感じになることもある。だから、そこは僕が両方の間に入って橋渡しをしたり、土井さんがあまり説明をしないようなことでも、僕がかみ砕いて若手にわかりやすく説明してあげる、という役割はうまく果たせているかな。僕自身、シマノ時代には長くキャプテンを務めてきたので、ちょうどいいバランスをとれていると思います」

 その畑中が若手選手たちに望むのは、もう少しプロフェッショナルとして自らの成長に貪欲になってほしい、ということだ。

「自分が若かった当時を思い出すと、僕は(自転車競技の強豪校である)鹿屋体育大学の選手に負けたくなかったんです。彼らに負けちゃいけないと思ったから、高校を卒業して4日後にはフランスに行ったし、『オレはフランスに行ったぞ』みたいな、訳のわからないガムシャラな自負心もあった。

 あの時代はインターネットもまだそれほど普及してなくて、情報もあまりないころだったので、『行かなきゃダメだぞ』と言われたら、『行かなきゃダメなんだ!?』と思って素直に行っちゃいました。それが正解だったか間違いだったかはわからないけど、でも、後悔はしていない。あの感覚って、今の若い選手たちも持っているんだろうか……。あの当時とは環境も変わって、選択肢も広がっている反面、(ガムシャラさは)ちょっと減っているかもしれないですね。

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