【自転車】30歳の畑中勇介が語る「2歳年上・土井雪広」という存在
遥かなるツール・ド・フランス ~片山右京とTeamUKYOの挑戦~
【連載・第74回】
シマノレーシングのエースとしてチームを牽引してきた畑中雄介は今オフ、新天地としてTeamUKYOを選んだ。その移籍のキッカケのひとつとなったのが、2歳年上の土井雪広の存在だ。チームメイトとなった今シーズン、畑中は土井に対してどのような思いを抱いているのか。
TeamUKYOでチームメイトとなった畑中勇介(左)と土井雪広(右) 畑中勇介は、この6月に30歳になった。この「30」という年齢について、「年は取りたくないんですよね」と、笑いながら話す。だが、その理由は、体力が衰えていくからではない。
「やっぱりそれだけ、ヨーロッパに行くチャンスがどんどん減っていくから」なのだという。
自転車ロードレースは、純粋に体力や筋力の強さや速さを競う競技ではない。レース戦略の駆け引き、体力のピークを調整するコンディショニングの知識など、精神の強さや経験が大きく結果を左右するという側面が強い。もちろん選手のタイプにもよるが、心身ともに充実した状態で競技活動の頂点を迎えるのは、20代半ば以降から30歳過ぎあたりまで、という印象もある。
「ピーキングの調整や、いらないストレスの捨て方、何かのバランスが崩れたときのフォローや回復も、年齢とともにうまく対応できるようになってきたと思います」と畑中はいう。
さらに、選手活動を続けるうえで精神的な支えになっていることのひとつが、高校を卒業してすぐに欧州でレースを戦ってきたという経験だ。
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著者プロフィール
片山右京 (かたやま・うきょう)
1963年5月29日生まれ、神奈川県相模原市出身。1983年にFJ1600シリーズでレースデビューを果たし、1985年には全日本F3にステップアップ。1991年に全日本F3000シリーズチャンピオンとなる。その実績が認められて1992年、ラルースチームから日本人3人目のF1レギュラードライバーとして参戦。1993年にはティレルに移籍し、1994年の開幕戦ブラジルGPで5位に入賞して初ポイントを獲得。F1では1997年まで活動し、その後、ル・マン24時間耐久レースなどに参戦。一方、登山は幼いころから勤しんでおり、F1引退後はライフワークとして活動。キリマンジャロなど世界の名だたる山を登頂している。自転車はロードレースの選手として参加し始め、現在は自身の運営する「TeamUKYO」でチーム監督を務めている。