【自転車】片山右京「チームを束ねる、という難しさ」 (4ページ目)
なかば自嘲するような笑みを浮かべながらも、しかし監督である以上はこれも引き受けなければならない、慣れなければならないのだ、と自らに言い聞かせるように話す。
「関わる人が多くなって、世界が大きくなるほど、デリケートなコミュニケーションもさらに複雑になっていくから、フィロソフィー(哲学)をしっかり持っていなければならないし、自分たちの目指す場所も見失ってはならない。切り捨てるべきモノは、残念だけど切り捨てなきゃいけない。その作業のたびに、自分が強い人間じゃないということを痛感しますよね。でも、そのへんのことをあまりにドライにできてしまう人よりはまだいいんじゃないか……ということを、自己弁護のように言い聞かせてはいるんですけど」
おそらく来年のシーズンオフも、片山は今と同じような口調で自らを叱咤しているのだろう。
著者プロフィール
片山右京 (かたやま・うきょう)
1963年5月29日生まれ、神奈川県相模原市出身。1983年にFJ1600シリーズでレースデビューを果たし、1985年には全日本F3にステップアップ。1991年に全日本F3000シリーズチャンピオンとなる。その実績が認められて1992年、ラルースチームから日本人3人目のF1レギュラードライバーとして参戦。1993年にはティレルに移籍し、1994年の開幕戦ブラジルGPで5位に入賞して初ポイントを獲得。F1では1997年まで活動し、その後、ル・マン24時間耐久レースなどに参戦。一方、登山は幼いころから勤しんでおり、F1引退後はライフワークとして活動。キリマンジャロなど世界の名だたる山を登頂している。自転車はロードレースの選手として参加し始め、現在は自身の運営する「TeamUKYO」でチーム監督を務めている。
4 / 4