【自転車】片山右京「僕たちは純日本国籍チームを目指す」
遥かなるツール・ド・フランス ~片山右京とTeamUKYOの挑戦~
【連載・第34回】
「ツール・ド・フランスへの参戦」を目指すTeamUKYOにとって、チームのレベルアップは急務だ。ただ、どのような形でチームを作っていくのか、陣頭指揮をとる片山右京は、ひとつの理想を描いている。自転車レースの本場・欧州で戦える集団となるべく、片山が語った本気度とは?
来季、NIPPOのチームキャプテンを務めるダミアーノ・クネゴ(右) 師走に入り、TeamUKYOは2015年の体制準備に余念がない。来シーズンのチーム規模が今年とほぼ同程度になるであろうことは、前回コラムでもお伝えしたとおりだが、レースの参戦計画に関しても、おそらく2014年と同様になるだろう、とチーム監督の片山右京は語る。
「もちろん、最低限でも今年と同程度にしたい、という理想はあります。とはいえ、来季に向けたスポンサーや予算もまだ固まっていない段階なので、ハッキリと断言することはまだ難しい......というのが、今の状況ですね。
闇雲(やみくも)にお金を使って参戦レース数をただ増やすよりも、今年と同じくらいの参戦規模にしながら、現場でしっかりとチームワークを機能させて選手たちが活躍できる環境を作りあげ、ひとつひとつのレースを大事に戦って順位を上げていくほうが、結果としては効率がいいのではないかと考えています」
おそらく、片山の心中には、将来の大きな飛躍に備えて今は歯を食いしばって雌伏(しふく)を続けるとき――というプランがあるのだろう。実力が伴わないうちに目先の派手さで衆目を集めるよりも、将来の活動を考えたときには、地道なルートでもまずはそこで実力を磨いて、力を蓄えるほうが最終的には近道になる、と考えているようだ。
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プロフィール
片山右京 (かたやま・うきょう)
1963年5月29日生まれ、神奈川県相模原市出身。1983年にFJ1600シリーズでレースデビューを果たし、1985年には全日本F3にステップアップ。1991年に全日本F3000シリーズチャンピオンとなる。その実績が認められて1992年、ラルースチームから日本人3人目のF1レギュラードライバーとして参戦。1993年にはティレルに移籍し、1994年の開幕戦ブラジルGPで5位に入賞して初ポイントを獲得。F1では1997年まで活動し、その後、ル・マン24時間耐久レースなどに参戦。一方、登山は幼いころから勤しんでおり、F1引退後はライフワークとして活動。キリマンジャロなど世界の名だたる山を登頂している。自転車はロードレースの選手として参加し始め、現在は自身の運営する「TeamUKYO」でチーム監督を務めている。