【新車のツボ169】アルピーヌA110。意外なほど尻軽感がたまらない (2ページ目)
この現代版アルピーヌは、そんな名車の車名とデザインを色濃く受け継いでいる。スポーツカーとは情緒商品であり、購入層も世界的に中高年マニアがメインである。というわけで、スポーツカー業界ではあまり斬新なものより、こういう"昔に憧れた"的なレトロな世界観のほうが、ビジネスとしては手堅い。
もっとも、表面的にはリバイバル感満載の現代版アルピーヌも、中身はもちろん最新鋭だ。性能的にはポルシェのケイマンやBMWのZ4(第156回参照)、トヨタ・スープラ(第158回参照)などと競合するミドル級スポーツカーである。
ただ、メガーヌR.S.(第149回参照)と共用するエンジンの性能は、これら競合車と比較すると控えめというほかない。たとえば718ケイマンやスープラ(の2リッターターボ)比で、体感的な"パンチ力"に直結する最大トルクは15~25%も小さい。
このようにエンジンはちょっとショボい(失礼!)アルピーヌだが、その代わりにウエイトが軽い。それもハンパなく軽い(!)のが最大のツボである。なにせ、同じ4気筒エンジンを積むケイマンより200kg以上(!!)、スープラにいたっては350kg近く(!!!)もアルピーヌのほうが軽い。その1.1t強というウエイトは、絶対的にもせいぜいトヨタ・ヤリスなどのコンパクトカーと同程度にすぎない。さすがにここまで軽いと、アルピーヌはだれもが乗った瞬間に「軽っ!」と口をついてしまうくらいに、ハッキリと軽いのだ。
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