【新車のツボ156】歴代最高のZ4。
ミドル級スポーツカー希望の星

  • 佐野弘宗●取材・文・写真
  • text & photo by Sano Hiromune

 約10年ぶりのフルモデルチェンジとなる新型Z4は通算3世代目だが、先代にあたる2代目の生産終了から今回のデビューまでに約3年間の空白があった。そんなことからも、新型Z4は"難産"だったのだと想像できる。

 Z4も含めた"ミドルクラス"のスポーツカーは本来、高級・高性能ではあるが、普通の人でもなんとか買えそうな現実的スポーツカー......のはずである。しかし、正直なところ、ミドルクラス・スポーツカーで継続的な商売ができているメジャー商品は、事実上ポルシェ・ボクスター/ケイマンだけである。

 同クラスのメルセデスベンツSLCは「今年で終了、次はない」と、この春に明言してファイナルエディションが登場したし、アウディTTも「現行型で最後!?」とささやかれる。日本にもフェアレディZ(第43回参照。ただし、当該記事のロードスターはすでに国内販売終了)があるものの、現行型が10年選手となっても次期型のウワサは聞こえてこない。これら以外はすべてハンドメイドの少量生産車だ。

 みんなの現実的憧れだったミドルクラス・スポーツカーが、いつの間にか、けっこう危機的な状況になった理由は、比較的ハッキリしている。ひとつはクルマの主流が背高型に移行したせいで、純粋に2ドアやオープンカーが以前ほど売れなくなった。そしてもうひとつは、世界的に厳しさを増す排ガスやCO2排出(=燃費)規制の対応に、世界の自動車メーカーが追われてしまっていることにある。

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