【新車のツボ155】VW up!GTI。
スポーツカーの機微を公道で味わえる
市街地や高速道路などの一般公道でクルマが出せるスピードは、今も昔もほとんど変わらない。いや、それどころか、高齢化やSNS普及の影響もあってか、リアルな交通環境での平均速度は昔より下がっているようにすら思える。そのいっぽうで、クルマの性能は今もなお、上がるばかりだ。
価格が4ケタ万円級のスーパーカーの性能が宝の持ち腐れなのは、今にかぎったことではないのだが、かつては庶民的スポーティカーの代名詞だったフォルクスワーゲン(VW)のゴルフGTI(第73回参照)ですら、今はアクセルペダルを思い切り踏んだ次の瞬間には交通(スピード)違反の領域に入ってしまうし、その旋回性能を引き出したら"高級外車で暴走"と後ろ指をさされかねない。つまり、このクラスですら思い切り走るためだけに買ってしまうと、ストレスをためるだけの存在になりかねない。
まあ、以前ここで紹介したプジョー208GTi(第126回参照)やルーテシア・ルノースポール(第119回参照)といったコンパクトクラスのホットハッチなら、まだ公道でギリギリ楽しめるかもしれない。それでも、もてる性能のすべてを解放できるわけではない。
というわけで、up!(アップ!)である。今回のGTIは、その車名や見た目からも想像できるとおり、そのup!をベースにしたスモールホットハッチだ。
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