2012.11.02

【新車のツボ43】
日産フェアレディZロードスター 試乗レポート

  • 佐野弘宗+Sano Hiromune+●取材・文・写真 text&photo by

 マニアにとって”スポーツカー”という言葉には、やはり特別な響きがある。たとえばスポーツセダンとかスポーツワゴンといった「フツーのクルマを高性能で走り自慢にしたクルマ」とはちょっとちがって、スポーツカーとは「全身全霊で走ることとカッコよさに特化したクルマ」のことである。

 最近はしみったれた話題ばかりが目立つ日本のクルマ事情だが、トヨタ86/スバルBRZやマツダ・ロードスターといった軽量スポーツカーから日産GT-R、そして(限定販売の)レクサスLFAといったスーパーカーまで……日本には意外や本物のスポーツカーは数多い。ポルシェやフェラーリみたいな専門メーカーがないのに、これだけのスポーツカーが揃う国は世界で日本だけ。こういう事実ひとつとってみても、日本の自動車産業は底力がある。

 そんななかで3.7リッターで400~500万円級……の日産フェアレディは中量級、ボクシングでいうと”ウェルター級”のスポーツカーだ。中量級といってもパワーは300馬力超。速度リミッターなしの海外仕様なら最高速270km/h(!)近くにも達して「本気で走るとアマチュアの手に負えないほど速い」という意味ではヘビー級スーパーカーと大差ない。

 ポルシェやBMW、ロータス……といった世界の名門と国際舞台でガチンコ勝負をするフェアレディは、だから、とにかくインパクトの強いスポーツカーだ。エンジンは全域でガオーッと吠えまくって、その気になれば後輪の19インチ・ハイグリップタイヤから軽々と煙を上げる!

 現行型は先代(は大人っぽく落ち着いた操縦性が評判だった)の改良熟成版だが、エンジン出力をギリギリと絞り出したうえに、いわゆる”回頭性”のためにホイールベースも短くなっている。だから、先代とは打って変わって、クルマと濃密な一体感を味わうより、とにかく迫力たっぷりの暴れ馬……という感じ。直線では蹴り飛ばされたように突進して、カーブもゴリゴリ速く曲がれるが、雨天時は「下手すると即スピン!?」の緊張感がみなぎる。