【新車のツボ149】ルノー・メガーヌR.S.。いよいよ秘密兵器を投入 (2ページ目)

  • 佐野弘宗●取材・文・写真 text&photo by Sano Hiromune

 そんなニュルでの速さを声高にうたったFF車は、メガーヌR.S.以前にはほとんど存在しなかった。だいたい、純粋なコンペティションカーにFFが存在しないことからも分かるように、速く走るにはFFは根本的に不向きなのだ。しかし、考えてみれば、実用的な乗用車は今や大半がFFであり、世界最速のFF車というキャッチフレーズは、理屈としてはツッコミどころがあっても、現実には「自分にも手が届くスーパーカー」として、世界の好事家の心に突き刺さったのは事実だろう。

 というわけで、メガーヌR.S.以降、世界のいくつかのメーカーによって、世界最速FFをめぐるタイム更新合戦が繰り広げられるようになる。メガーヌR.S.も2世代で3回のニュルアタックをして、その都度タイムを更新してきたが、現在のニュル最速タイムを保持する市販FFは日本のホンダ・シビック・タイプR(第144回参照)である。

 ルノーとホンダのつばぜり合い......とは、まるで今のF1(の中団争いの)構図のようでもあるが、これまでの経緯やファンの期待を考えても、新型メガーヌR.S.が世界最速FFの王座奪還......を視野に入れているのは当然だろう。ただ、技術内容や性能値を見るに、このままシビック・タイプRのタイムを抜くのは現実的にはむずかしい。ニュルアタックの役割はおそらく、さらにカリカリにアップグレードされた追加モデルが担当するようだ。

 しかし、われわれのようなアマチュアのクルマオタクにとっては、新型メガーヌR.S.はすでに「死ぬほど速い!」というほかない。

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