【新車のツボ144】ホンダ・シビック・タイプR、鬼のような世界最速FF

  • 佐野弘宗●取材・文・写真 text&photo by Sano Hiromune

 この新型シビック・タイプRは、マニア間で"世界最速の市販FF(前輪駆動)車"と認定されている。ここでいう"最速"の根拠となるのは、ドイツのニュルブルクリンク北コース(以下、ニュル)におけるラップ記録だ。

   ニュルは約20kmの全長に、170以上のコーナーと約300mの高低差を有するサーキットコースで、長くて複雑なレイアウトであるうえに、コースそのものの設計が古い。

 よって、コース幅は全体にせまくて、路面もそこかしこが荒れているのだが、その攻略の難しさゆえに、世界中の自動車メーカーがスポーツカー開発のためにニュルに集まってくる。そんなこんなでニュルはいわば"スポーツカーの聖地"であり、クルマのプロたちは「ニュルで速い=どんな過酷な道でも速く、本当に優秀」という方程式でスポーツカーを評価する。

 というわけで、新型シビック・タイプRは、この2018年3月現在、FF車によるニュル最速タイムを保持しているわけだ。

 その具体的なタイムは7分43秒80。ちなみにニュルで同じく"8分切り"を果たしたFF車は、この新型タイプR以外には4台しかない。フランスのルノー・メガーヌR.S.、スペインのセアト・レオン・クプラ280(日本未発売)、ドイツのVWゴルフGTI(第73回参照)の限定モデル、そして先代のシビック・タイプR......の4台である。

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