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【新車のツボ135】レクサスLC 、
日本の味わいで世界と勝負するクーペ (2ページ目)

  • 佐野弘宗●文 text by Sano Hiromune photo by LEXUS

 つまり、LCは単純な速さでなく、高級感や味わい、色気......といった"オーラ"のようなもので世界と勝負するクルマということだ。

 LCの実物の第一印象は「これって本当に売るんですか?」である。LCのデザインはもともと市販予定がなかったショーカーがベースだが、そんなブッ飛んだ造形を、ここまで忠実再現した技術と意地には素直に感心する。

 LCはベタッと低くて幅広く、いかにも強そうで走りそうなのに、欧米のクーペやスポーツカーにありがちな筋骨隆々の肉食系デザインとは明らかにちがう。全体に余計な抑揚や線がなく、滑らかなのが最大の特徴だ。

 こういうツルンとしたデザインは、じつは量産するのがもっとも困難な部類に入る。一般的なクルマのボディは鉄板やアルミ板を折り曲げて接合して、そこにプラスチック部品をハメ込んでつくるから、どうしても継ぎ目ができてしまうし、異素材の塗装の色調を合わせるのも大変だからだ。

 そう考えると、このLCの完成度はマジでスゴイ。誤解を恐れずにいうと、遠目から見ると「もしかしてCGか!?」と錯覚しそうなバーチャル感すらただよう。これはもちろん存在感が薄いという意味ではない。むしろその逆。LCはボディ表面の仕上げが陶器のように滑らかで、部品の継ぎ目が見事なまでにタイトだからこそ、まるで"絵"みたいに周囲の景色に溶け込んでいるということだ。

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