【新車のツボ126】
プジョー208GTi byプジョースポール
再燃するホットハッチ王座決定戦

  • 佐野弘宗●取材・文・写真  text&photo by Sano Hiromune

 実用ハッチバック車をスポーツカーばりに高性能化した"ホットハッチ"と呼ばれているクルマにも、いくつかのクラスがあるが、フツーの人間がフツーの道で思いっきり走れる上限は、日本車でいうとホンダ・フィットやトヨタ・ヴィッツ級のサイズだろう。

 しかし、このクラスのホットハッチは今の日本車にはほとんど存在しない。しいていえばスズキのスイフトスポーツ(第39回参照)がそれにもっとも近いが、その性能は良くも悪くも寸止め感があって、厳密には"ウォームハッチ"とでも呼びたいお利口さんタイプ。「もっと頭のネジがぶっ飛んだヤツを!」という筋金系には物足りなくもある。

 日本のホットハッチ好きはもはや、昭和〜平成初期の若かりしころの全盛期を忘れられない(私のような)中年マニアばかりで、商売になりにくい。だが、そんな本気でアツく、ギリギリ一般道でも楽しめる"上限ホットハッチ"は、欧州では今でも豊富にそろう。この点だけは欧州が心底うらやましい。

 ただ、欧州メーカーのすべてが日本市場に参入しているわけではないし、この種のマニア商品は地元限定のケースも多い。というわけで、日本で普通に手に入る最新最強の"上限ホットハッチ"は、ルーテシア・ルノースポール(以下RS)が決定版であり続けてきた。

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