宮司愛海アナが2019年スポーツを振り返り。個人的10大トピックスは? (2ページ目)

  • 佐野隆●写真 photo by Sano Takashi

【6月】八村塁選手、日本人で史上初のNBAドラフト1巡目指名

 6月は日本バスケットボール界にとって、新たな一歩が刻まれました。八村塁選手がNBAドラフトでワシントン・ウィザーズから1巡目指名(全体9位)。日本人選手初の快挙と、八村選手の開放的な魅力あふれるキャラクターも相まって連日大きくメディアに取り上げられましたよね。

 八村選手だけではなく、今年は日本バスケ界にとってもメモリアルな一年でした。2月にバスケットボールワールドカップアジア地区予選を突破。4連敗スタートの崖っぷちの状況から、自力では21年ぶりの出場権獲得。3月にはFIBAの理事会で東京オリンピックへの出場が認められました。

 中国で開催された9月のワールドカップでは、世界ランク48位の日本代表には厳しい結果になりました。1次ラウンドでアメリカ(同1位)、トルコ(同17位)、チェコ(同24位)と戦って3戦全敗。世界のレベルを痛感させられました。

 でも、日本バスケは新たな扉を開けたばかり。10月に開幕したNBAで八村選手は連続スタメンで成長を遂げています。NBA2年目の渡邊雄太選手もメンフィス・グリズリーズで試合出場の機会を少しずつ得ていますし、今月にはNBAでの日本人対決も実現しました。馬場雄大選手もダラス・マーベリックスと契約して、今季はNBA下部のリーグで腕を磨いています。来年の東京オリンピックでは、「ワールドカップでの敗北があったからこそ、この成績を残せた」となることを期待しています。

【8月】渋野日向子選手が42年ぶりの快挙

 今年は夏から秋にかけて日本中がスポーツの熱狂に包まれました。皮切りになったと思うのが、渋野日向子選手の全英女子オープンゴルフの優勝。日本人選手では樋口久子さん以来42年ぶりの快挙を達成したニューヒロイン誕生は、間違いなく今年を代表するトピックですよね。

 渋野選手を3度ほど取材させてもらいましたが、実際にお会いした印象は、きっとみなさんがテレビを通して受けているイメージそのまま。等身大で飾らない素敵な女性です。「スマイル・シンデレラ」と言われるあの笑顔は、内面から自然と湧き出ているのだなと感じました。

 笑顔はもちろんですが、渋野選手はコメントもすばらしいですよね。笑いをひとつ挟んだりするお茶目さもあって。試合結果が悪ければ悔しさから感情をコントロールできなくなっても不思議はないのに、そういったところは一切なし。まだ21歳なのに、どんな結果であっても丁寧に取材に応じていて、本当にすごい選手が登場したなと思います。

【8月】世界柔道選手権が日本武道館で開催

 8月には、世界柔道選手権が2020年の東京オリンピックと同じ会場の日本武道館で開催され、とても意味のある大会になったと思います。

 この大会で特に注目されていたのが、男子の66キロ級です。その伏線は、今年4月に行なわれた全日本選抜体重別選手権にありました。2017年・2018年の世界選手権覇者の阿部一二三選手が、決勝で13分23秒の死闘の末、丸山城志郎選手に敗戦。

 さらにその丸山選手が、8月の世界選手権で優勝。準決勝では阿部選手にふたたび勝利しました。11月のグランドスラム大阪大会で丸山選手が優勝すればオリンピックの代表内定に大きく近づくことができましたが、この大会では阿部選手が意地を見せ、延長戦の末に丸山選手を破って優勝。現場で取材していて、ふたりのオリンピック出場にかける気迫に鳥肌が立つほどでした。

 これだけ実力の拮抗した選手がオリンピック代表を争うのは、過去に例を見ないのではないでしょうか。グランドスラム大阪大会後に井上康生日本代表監督は、「それでもまだ丸山選手が一歩リードしている」と話されていました。年明けも続いていくふたりの代表争いを、しっかり注視していきたいと思います。

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