日本代表GK・川島選手が手ごたえをつかんだ「瞬間」とは? (2ページ目)
あれから11年、日本のワールドカップ・ブラジル大会出場が決まる可能性がある重要な試合で、その試合の伝え手としてスタジオにいられるのですから、本当に緊張しています。
私は、入社半年後に『やべっちF.C.』のフィールドレポーターを担当することになり、それからは、時間があれば週末はJリーグの取材に行っています。今年の4月からはアシスタントMCとしてスタジオで中山雅史さんや名波浩さんの解説を聞き、ゴールを決めるために選手がどんな意図で動いているのかなど、サッカーの観戦ポイントを学んでいるところです。
先日も、ワンタッチゴールが多い広島の佐藤寿人選手が、DFの視界から消える動きや、動くタイミングなど、どのようにDFと駆け引きをしてマークを外しているかを知り、観戦の楽しみがまたひとつ増えました。
入社1年目にサッカーの取材を始めたばかりの頃は、現在は欧州で活躍している長友佑都選手、香川真司選手らがJリーグでプレイしていて、GKの川島永嗣選手にも、川崎フロンターレに所属しているときにお話を何度かお聞きしました。
現在ベルギーリーグのスタンダール・リエージュでレギュラーの川島選手は、当時、すでに代表に招集されていたものの、楢崎正剛選手や川口能活選手という先輩ゴールキーパーがいて、試合に出場する機会がほとんどなかった頃です。
Jリーグの試合後取材のとき、川島選手は「代表チームで(自分は)どうしたらいいんだろう」と葛藤している様子でした。そして、ベルギー移籍後の取材でも、「Jリーグ時代は代表に選ばれても試合に出られないと、そこで疲れてしまい、(Jリーグの)試合に身が入らないことがあって、すごくモヤモヤしている時期があった......」と語っていました。シュートを止めたときの「ドヤ顔」を見ていると精神面で強靭そうな川島選手でもこんなに悩むことがあるんだと、意外な一面を見た思いでした。
その川島選手のエピソードで特に印象に残っているのが、GKとしての自信をつかむきっかけになった瞬間のことです。それは2010年ワールドカップ南アフリカ大会直前に、スイスで行なわれたイングランド代表との親善試合でのワンシーン。
先発に抜擢された川島選手は、イングランド代表のエース、ルーニー選手のシュートを止めて、「思っていたほどではないな」と感じたといいます。そのとき、「やれるんじゃないか」と手ごたえをつかみ、とても自信になったそうです。
「昔はPKを止めるのがすごく苦手で、フロンターレの頃もあまり止めてなかった」という川島選手が、大きな舞台での経験を積んで、今ではリエージュでも日本代表でも守護神として活躍している。苦悩や葛藤の中から自信をつかんで成長し、夢を実現するスポーツ選手の姿を見ると、本当にすごいと思いますし、取材している私の方がいつも「私も頑張ろう」という勇気をもらっています。
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