ネイマールの超絶テクニックを石川直宏が解説。スピードを生かす極意
スポルティーバ 足ワザ100連発
第1回:ネイマール(前編) ◆後編を見る>>
世界トップレベルのサッカースターたちのテクニックを、紹介・解説していく連載。第1回はじつに多彩なボールテクニックで、見る者の心を躍らせているネイマールを取り上げる。元日本代表の石川直宏氏に数々のプレーを実演してもらい、そのポイントやプレーの特徴を聞いた。
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多彩なテクニックで楽しませる、ネイマールのプレーを解剖する photo by Getty Images↓【動画】ネイマールのテクニック 実演&解説
ネイマールのプレーでいちばん特徴的なのは、「ゼロヒャク(0→100)」とも言うべき、止まった状態から一気にトップスピードに入って、相手を置き去りにするプレーです。
今回紹介した動画では、「ネイマールステップ」がそれにあたります。得意の左サイドで相手と1対1になった時、足元にボールを置いて止まった状態をつくり、一度ボールを触らずに右足でステップしたあと、一気に加速して縦にボールを運んで抜くワザです。
仕掛けるほうも、守るほうも、1対1では自分の得意な間合いで勝負しようとします。ネイマールは足元にボールを置いて止まり、スピードを「ゼロ」の状態にすることで簡単に自分の間合いをつくってしまいます。
通常、止まってしまえば、守る側が有利になりそうなものですが、ネイマールは「ゼロヒャク」の加速があるので、この止まるプレーを可能にしています。そして止まっているのなら、相手はネイマールの足元に飛び込めばボールを奪えそうとも思うのですが、それもできない。
これはスッと止まった時の、ボールの置く位置がいいからです。相手が飛び込んできても、先に触ってかわせる位置にボールを常にセットしている。それがわかるので、相手も簡単に飛び込めません。こうしてネイマールは、止まることで自分優位の間合いを作り出せるのです。
また、止まった状態にした時の、相手の立ち位置や反応をよく見ています。それによって縦に突破したり、逆に中にかわしてカットインしていくパターンに変えたりします。
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