検索

大学ラグビーのジャージにスポンサー名 企業の思いと大学スポーツの財政的な現状

  • text by Sportiva

スポンサー名が入った新ジャージを持つ、(左から)早稲田大学ラグビー蹴球部部⻑・恩蔵直人氏、リオ・ホールディングス代表取締役・中川智博氏、三井住友フィナンシャルグループ執⾏役社⻑グループCEO・中島達氏、早稲田大学総⻑・田中愛治氏スポンサー名が入った新ジャージを持つ、(左から)早稲田大学ラグビー蹴球部部⻑・恩蔵直人氏、リオ・ホールディングス代表取締役・中川智博氏、三井住友フィナンシャルグループ執⾏役社⻑グループCEO・中島達氏、早稲田大学総⻑・田中愛治氏

コーチ陣は手弁当という現状

 大学ラグビーに新しい風が吹き始めた。

 2025年3月に日本ラグビーフットボール協会が「大学生以上のチームを対象とする商業活動に関する運用ガイドライン」を発表し、4月から大学ラグビー部がスポンサー企業を募ることができるようになった。

 その後、いくつかの大学がスポンサー獲得に動き始め、9月1日に明治大学ラグビー部がGMOインターネットグループとオフィシャルパートナー契約を締結したことを発表。4日には早稲田大学ラグビー蹴球部が記者会見を開催し、ジャージ背面(背番号上部)のスポンサーに三井住友フィナンシャルグループが、パンツ背面(左)のスポンサーにリオ・ホールディングスがついたことを発表した。

 その席で、部活動での金銭的な負担増がスポンサー獲得に動いた理由だと明かした。早稲田大学総⻑の田中愛治氏はその現状について語る。

「早稲田大学の44ある体育学部のコーチはほとんど手弁当、無給でやっています。そのなかで早稲田がこれだけの成績を収めていることは奇跡的だと感じています。大学側も負担しつつも設備やユニフォームの用意、遠征もあるため、大変お金がかかります。また現在の急速な物価高も追い打ちをかけているため、財務面のかじ取りで大学としても悩んでいるのが実情です」

 さらにラグビー蹴球部部⻑の恩蔵直人氏は、現状の部活生の負担額について「年間16万円の部費を払っていただき、合宿費も負担していただいているので、合計で年間40万円弱となります。さらに授業料もあるので(各家庭の)負担は大きいと思います」と内情を語った。

SMBCの思い

 そんな事情を察し、スポンサーとして名乗りを上げたのが、前述の企業だった。三井住友フィナンシャルグループ執⾏役社⻑グループCEOの中島達氏は、同大学と対戦経験もある元ラガーマン。中島氏は、元三井住友銀行執行役員で同大学出身の宿澤広朗氏(元ラグビー日本代表監督)との縁を披露しつつ、今回の契約に至った思いについて熱く語った。

「我々は2014年からラグビー男子日本代表、そして2024年からラグビー女子日本代表、さらには小学生から大学まで各世代のラグビー大会にも協賛していますが、それは我々がラグビーの価値観に深く共感しているからです。多様な個性を持つメンバーが互いを尊重し、団結し、それぞれが持つ力を存分に発揮して、仲間のために尽くす。それはまさに我々企業が目指すべき姿そのものです。

 早稲田大学ラグビー蹴球部は常に斬新な戦法を編み出す創造性とひたむきさを兼ね備えています。我々も金融の枠を超えて挑戦していきたいと考えていて、その思いでも共鳴するところが非常に大きいと思っております。これらの面でサポートさせていただくことになりました」

 このように同社が目指す姿勢との親和性を強調する一方で、中島氏は「大学の体育会の運動部は非常に財政的に困窮しています」と語るなど、大学スポーツが置かれている現状も認識したうえでの契約だった。

1 / 2

    キーワード

    このページのトップに戻る