車いすラグビーの大会で2万人来場を実現 オイシックスが携わるパラスポーツ支援とプロ野球運営の理由 (2ページ目)
前述のように車いすラグビーについては連盟の理事長に高島氏が就任。社員も数名派遣した。そこまで力を入れたのは、「競技として魅力的でポテンシャルが高く、スポーツのエンタメとして可能性を非常に持っていた」ことが大きな理由だという。さらに「運営体制を整え、広報活動を充実させるなど、弊社のビジネススキルを生かしていくことで、相乗効果が見込めそう」という側面もあった。
連盟内部だけではなくて、オイシックス社内にもプロジェクトチームが立ち上がった。所属部署を持ちながらのダブルミッションという形をとっているが、10名程度が集まり、主要な大会などではスタッフとして後方支援を行なっている。
その効果は着実に表れていった。2023年6月の車いすラグビーの「アジア・オセアニア チャンピオンシップ」(東京体育館)では、東京都と埼玉県と連携し、都内と県内の学校に向けて観戦案内を出した結果、71校7,852人が来場。3階席まで満席になるほどの盛り上がりを見せた。試合以外でも楽しめる企画を実施し、プロリーグ並みの演出も行なうなどし、最終的には4日間で2万人が来場。日本代表は大熱狂のなかで試合を行なうことができ、見事その場でパリ大会出場を決めた。
「お客様が集まると選手もテンションが上がって、より白熱したプレーになりましたし、それを見た方々がリピーターになってくれたと思っています。そうした土壌を築けたこともあり、2024年11月に開催したシブヤカップ(※)でも月火水の日程にも関わらず、3日間で6,000人の来場者があり、代々木第二体育館がいっぱいになりました」
※車いすラグビーの育成選手たちに国際経験を積ませる大会
またファン向けのグッズ販売も行なった。車いすラグビーの選手が試合や練習中にパンクした際に交換し不要になったチューブをアップサイクルしてサコッシュを製作。第1弾として80個、第2弾として50個ほどを販売したが、いずれも完売している。
このような取り組みにより、社員の間にもパラスポーツを楽しむ土壌が少しずつ醸成され、前述のアジア・オセアニア チャンピオンシップには社員100名以上が観戦。パリ大会で実施した社内でのパブリックビューイングでは、車いすラグビー日本代表強化指定選手と「加賀の井酒造」で作ったコラボ日本酒を飲みながら観戦するなどの工夫を凝らし、会場は大いに盛り上がった。パラスポーツ支援を開始してから2025年で10年目を迎えるが、こうした積み重ねにより、社員間でパラスポーツへの愛着がしっかりと根付いたと言える。
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