今井達也が社会貢献活動でファンと心の交流 西武ライオンズの伝統を継承
8月3日、西武対楽天の17回戦が始まる約2時間半前の14時半頃。ベルーナドームのグラウンドで選手たちが試合に向けた準備を進めるなか、一塁側スタンドの一角は多幸感に包まれていた。
前日に先発マウンドに上がった今井達也が、社会貢献活動の一環として所沢市に在住する知的障害児や肢体不自由児とその家族38人を招待し、交流会が開催されたのだ。
『所沢市手をつなぐ親の会』の方たちと写真撮影を行なう今井達也(後方左から6人目) photo by Nakajima Daisukeこの記事に関連する写真を見る 今井と一緒に写真撮影を行なったファンたちは、文字どおり笑顔がはじける。一方の今井も、にこやかな表情で交流を楽しんだ。
「初めて直接お会いできたのですごくうれしいです。直接会うことによって、もっとほかにもいろんな活動をしてみようかなっていう気持ちにもなりましたし、もっといろんな方の手助けができればいいなと思いました」
『所沢市手をつなぐ親の会』にシーズンシート2席分を寄付する活動は1994年、潮崎哲也球団本部編成ディレクターが現役時代に始めたものだ。後輩たちに受け継がれ、今年31年目になる。今井は2020年、その14年前から始めた栗山巧に誘われて開始した。
「何年かこういう活動を続けていくなかで、始めてよかったなとあらためて思うこともあります。一軍で出場する機会が増えていくなかで、どんな形であれファンの方に普段のお礼というか、手助けをしたかった。ひとりでも多くのファンの方に球場に直接試合を見に来ていただいて野球観戦を楽しんでいただき、もっといろんな形で増やしていければいいなと思います」
【ロベルト・クレメンテの功績】
プロ野球選手と社会貢献活動と言えば、最も有名なのがロベルト・クレメンテだ。メジャーリーグで人種差別が激しかった1950年代、クレメンテはフィールド内外の活躍で"ラティーノに扉を開いた男"として今も尊敬を集めている。
筆者は2019年、プエルトリコの「エスタディオ・ロベルト・クレメンテ・ウォーカー(ロベルト・クレメンテ球場)」を訪れた際、その存在感に圧倒された。球場の入り口に、巨大なクレメンテ像が待ち受けていたのだ。
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プロフィール
中島大輔 (なかじま・だいすけ)
2005年から英国で4年間、当時セルティックの中村俊輔を密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『山本由伸 常識を変える投球術』。『中南米野球はなぜ強いのか』で第28回ミズノスポーツライター賞の優秀賞。内海哲也『プライド 史上4人目、連続最多勝左腕のマウンド人生』では構成を担当。