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ユニクロ女子陸上部が妥協なきプランで頂点を目指す 廃部の危機から「2年で日本一」の目標を掲げた現在地 (2ページ目)

  • text by Sportiva

ケガ人ゼロからスタート

――顧問に就任されたタイミングで開催された2021年11月のクイーンズ駅伝では10位の結果を残しています。ユニクロとしては歴代2位の成績でしたが、どうお感じになりましたか。

 その時に初めて見に行ったんですが、ある程度の手ごたえを感じました。ただ大会後に監督、コーチ、選手全員と面談をした時にわかったのが、ケガ人の多さ。10月にプリンセス駅伝が開催されるのですが、毎年春から誰かがケガをしている状態が続いていて、8月末頃の時点で走れる選手がだいたい決まっているということでした。誰で勝負をするかという選べる状態ではなくて、この選手たちしか走れないという状態だと。それであれば、2022年の目標はケガ人ゼロを目標にしようと思いました。

――どのような改革をされたのでしょうか。

 これまでは合宿があった場合、予算の都合でコンディショニングを担うメディカルスタッフをフルでつけられなかったということでしたが、それを初日から最終日までつけてもらうようにしました。個人の医療費も、選手の金銭的負担が最低限になるようルールも変えました。以前はお金の問題で行きたくても行けなかったようなことも起きていたようです。

 また合宿所のある浦安の駐車スペースに疲労回復のための高酸素施設を作って、いつでも気軽に利用できるようにしました。さらに昨年は2回、5月に1カ月、夏に3カ月の合宿を、高地トレーニングで有名なアメリカ・コロラド州のボルダーで実施しました。そんななかでも、とにかくケガ人を出さないようにと思って、フルサポート体制で行ないました。

 結局昨年はケガ人ゼロだったんですよ。だからプリンセス駅伝もクーンズ駅伝も数日前までメンバー選びに苦戦するほどでした。

――2021年も2022年もクイーンズ駅伝は10位の結果でしたが、この意味合いは全く違ったものだったのですね。

 2022年は、本当は5位くらいを狙えるはずでしたが、最終的には10位。2023年大会のシード権を獲れる8位と30秒差でした。チーム力は確実に上がったなと思うとともに、これが現状のチームの実力と感じました。

――今年4月には新たに3選手が加入しましたが、その意図を教えてください。

 昨年のクイーンズ駅伝を踏まえて、この延長で頑張っていても、2023年に日本一は相当厳しいなと。もっとチームに刺激を与え、競争力を上げるためにも強い選手がほしいなと思いました。そう思っていたタイミングで自分の夢を実現するためにユニクロに入りたいという選手が出てきてくれたんです。

 それで今春に後藤夢、川口桃佳が移籍で加入し、井澤奈甫は新卒として新たに加入しました。彼女たちを含め、監督、コーチ、選手全員を集めて、話をしたんです。ユニクロは駅伝で結果を出すことだけではなく、みんなには一人ひとり、世界選手権でもオリンピックでもいいから、究極の夢や目標をもってほしいと。僕はそういう夢を持った選手を最大限にサポートしたいと伝えました。

 だからこの5月にチームスローガンも「Believe in Your Dream」に変えたんです。究極の目標を決めたら、それに向けて信じて頑張っていこうぜと。そういう集団であれば、集大成としてクイーンズ駅伝でも日本一になれると。今年はその気持ちを持って、今頑張っている最中です。

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