ユニクロ女子陸上部が妥協なきプランで頂点を目指す 廃部の危機から「2年で日本一」の目標を掲げた現在地
勝負の2年目に挑むユニクロ女子陸上部 実業団チームとして26年の歴史を持つユニクロ女子陸上競技部。中長距離の選手を擁する伝統あるチームでありながら、近年までほとんど脚光を浴びることがなかった。一時は廃部の危機にまで陥ったチームが今、劇的な変化を遂げようとしている。ユニクロ女子陸上競技部はどのようにして生まれ変わり、そして高みを目指すようになったのか。ファーストリテイリンググループ上席執行役員/商品本部長で女子陸上競技部顧問である勝田幸宏氏に話を聞いた。
「やるからには2年で日本一に」
――1997年にユニクロ女子陸上競技部が創部されました。まずはどのような経緯でチームが創設されたのでしょうか。
山口県のスーパーマーケットチェーンストアが持つ女子陸上部があったのですが、廃部になるかもしれないという話があり、それを1997年にユニクロが譲り受けたのが始まりと聞いています。引き受けたからにはしっかりとした練習環境を整えなくてはいけないということで、山口県の本社の敷地内に400mトラックを作り、今もあるんです。
――その後の陸上競技部の活躍ぶりについてはどのように感じていましたか。
陸上競技部としては、クイーンズ駅伝(全日本実業団対抗女子駅伝競走大会)をひとつの焦点にして戦ってきましたが、なかなか予選のプリンセス駅伝(全日本実業団女子駅伝予選会)を突破できない状態が続いていました。2014年に一度、クイーンズ駅伝で7位に入ることができたのですが、その結果を継続することができませんでした。
実は2021年に、創部からずっと陸上競技部の顧問をやられた方が退任されることになったのですが、その時にこれまでの結果を踏まえて陸上競技部の今後について議論されました。一時は廃部の方向で話が進んでいたのですが、前顧問が何度か柳井(正/ファーストリテイリング、ユニクロ代表取締役会長兼社長)に直訴した結果、2021年11月頃に僕が引き受けることになったんです。柳井からは「やるからには2年で日本一」と言われまして、僕もそのくらいの目標のほうが全力投球できますから、「じゃあそうします」と言ってスタートしました。
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