メダル24個の最強スイマーも登場。日本のエースらと「プラスワン」を語り合う (2ページ目)
2人目がオーストラリアのカヌー選手、カーティス・マグラス。初めて出場したリオ大会で金メダルに輝いた世界ナンバーワンの男だ。
アフガン帰り 不屈のカヌー王者、カーティス・マグラス
彼はオーストラリア陸軍出身という異色の経歴を持つ。06年に18歳で入隊すると、アフガニスタンに赴任。そして12年8月、最前線で任務についていた時に不運にも地雷を踏んでしまう。なんとか一命は取り留めたものの、両足を失ってしまった。誰でも絶望するそんな状況の中でもカーティスの心は折れなかった。「救助され運ばれているとき同僚に言ったんだ。『俺はパラリンピックに出るから必ず見てろ』って」。
体が動かせるようになると、すぐに義足をつけたリハビリを行ない、スイミングやウエイトトレーニングなどで基礎体力をつけた。そして14年からカヌーにチャレンジすると、同年に世界記録を塗り替えてしまった。そのわずか2年後のリオ大会では、見事金メダルを獲得。その後もカヌーにすべてを捧げてきた彼は、この東京大会で「前回王者として絶対に連覇したい」と意気込む。その雄姿をこの夏、目にすることができるはずだ。
3人目は日本期待の競泳選手、木村敬一。自由形・平泳ぎ・バタフライ・メドレーをこなすオールラウンダーとして世界の第一線で戦う、誰もが認める日本パラ水泳のエースだ。
TOKYOで輝く日本のエース、木村敬一
木村は先天性の疾患により、2歳の時に視力を失ってしまう。それでも小学4年の時に水泳を始めるとすぐに頭角を現し、中学時代から国際舞台で活躍。高校3年の時に北京大会に初出場し3種目で入賞すると、続くロンドン大会で銀1個、銅1個を獲得する。
リオ大会では、「これまでにないくらい(練習を)やってきた」と自信を持って臨んだが、それでも悲願の金メダルには届かなかった。結果は、銀2個、銅2個。そのため木村はある決断を下す。知り合いもいない、英語もままならない状態で、練習の拠点を思い切ってアメリカに移した。すべては金メダルをその首にかけるためだ。「たくさんの方に迷惑をかけてアメリカに来たので、何としても速くならないといけないんです」。並々ならぬ想いを胸に彼はこの夏に向け猛特訓を続けている。
2 / 3