伊達公子が若い子に伝えたい「トレーニングと用具選びの重要性」 (4ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • TOBI●撮影 photo by TOBI

長年愛用してきたBARRICADEについて語る長年愛用してきたBARRICADEについて語る トレーニング法や食事と並び、伊達がケガ防止とパフォーマンス向上のために細心の注意を払ってきたのが用具――特にシューズ選びだった。彼女の武器であるフットワークをキャリアの最後まで支えたのが、約7年前にリリースされた「BARRICADE(バリケード)」である。

「私はバリケードが好きなので、世界中探し求めて、できるだけ同じモデルを回収したんです。普通、テニスシューズは1大会履くと潰れてしまうのですが、アディダスのシューズは優秀で、3大会は持ちます!

 ただ、それでも当時のバリケードの在庫がなくなってしまったので......そこでアディダス ジャパンに相談したところ、ドイツの本社からパーツを取り寄せて、それをもとに新たに作ってくださったんです。それも、私仕様に仕上げてもらえました。なので最終的には違和感なく、安心して履けるシューズが出来上がったんです。

 私がシューズに求めたのは、まず、何も感じないということですね。特に私の場合は、横への動きにこだわります。横に対するホールド感がないと、どうしても突っ込めない。そこを何も考えることなく突っ込めるシューズが理想です。シューズに不安を覚えると、どこかで躊躇(ちゅうちょ)して動きを抑えようという考えが働いてしまうし、それがあると股関節や脛(すね)の横など、別のところに痛みや張りが出てしまうんです。

 シューズのなかで足が動かないことも大切なので、ソックスもアディダスのお決まりのものを履き続けました。厚みが違うだけでマメができますし、靴のなかで足が滑ったりもします。足への圧迫感や地面をとらえる感覚が変わるのが好きではないので、常に同じものを使っていました」

 長く世界のトップに身を置き、多くの知識と経験をその頭脳と身体に刻んできた彼女には、後進に残したい財産があり、それらを伝えたという情熱がある。伊達公子は今の日本テニス界をどのように見て、そのなかで自分はいかなる役割を果たそうとしているのだろうか? 最後にその想いを聞いた。

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