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今季、心機一転を図る
ゴルファー有村智恵の「現在・過去・未来」 (5ページ目)

  • 津金一郎●文 text by Tsugane Ichiro 五十嵐和博●写真 photo by Igarashi Kazuhiro


 ボランティア・キャディは普段は会社勤めでゴルフ経験もほとんどなく、開催コースの特徴やルールに詳しくない方がやってくれます。コース攻略のアドバイスは期待できないけれど、私には刺激的な存在でした。ゴルフと無縁な生活の方と出会う機会があまりないので、彼らの人生を聞きながらラウンドすることで、「私が生きていける道はゴルフだけ」と思っていた価値観が大きく変わっていきましたね。

「私は何のためにゴルフをしているのか」なんて、国内ツアーで活躍していた頃は考えもしなかったけど、アメリカツアーで苦労していると自問自答してばかり。それで、あるとき気づいたんです。私は家族や出会った人たちと心から悦びを分かち合いたいと思っていることに。ゴルフをする意味を見つけられたのは、本当に大きなことでした。

 昨シーズン途中で日本に戻ることに決めましたが、やっぱり地元の熊本を襲った地震が大きかったです。私もちょうど熊本での試合に出るために実家に滞在していた時に被災したんですが、避難所で出会った人が大変な状況なのに、私を励ましてくれて......。プロになってから地元の人と会う機会はあまりなかったけれど、私のプレーを心待ちにしてくれる人がこんなにいて、これほど応援されていたのかと思い知らされた。プロゴルファー有村智恵として地元の人たちを勇気づけたいと思ったら、もうアメリカでプレーを続ける理由はなくなっていました。
 
 去年は国内ツアーで10試合に出ましたが、やっぱり難しかったですね。それでもQTトーナメントで17位になり、今季は国内ツアーのほとんどに出場できることになりました。2015年から取り組んできたスイング改造にも光が差しているので、今年こそは何としても1回は優勝して地元の人たちや家族など、ゴルフを通じて出会ったすべての人たちと悦びを分かち合いたいと思っています。

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