『ハイキュー‼』の名言をグラブに刺繍する西武・西川愛也 リハビリ期には「下を向いている暇はあるのか」と自身を鼓舞した (2ページ目)

  • 市川忍●文 text by Ichiawa Shinobu

【グラブに刺繍している作品中の言葉】

――グラブの内側に「思い出なんかいらん」と刺繍をしていますが、なぜその言葉を選んだのでしょうか?

「稲荷崎高校の横断幕の言葉なんですけど、僕は稲荷崎が一番好きなチームで、『あの言葉、かっこええな』と。そんなに長い言葉をグローブに入れている選手、見たことないですよね?(笑)でも、周りに何と思われてもいいんです。

 僕は、甲子園で優勝経験があることがよく話題になります。覚えていてくださるのはありがたいのですが、僕は過去よりも『今、自分がどうなのか』ってことを大事にしたいので、その刺繍をしてもらいました」

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――稲荷崎高校で好きな選手は?

「双子の"宮ツインズ"は両方好きですが、特に好きなのはセッターの宮侑(みや・あつむ)です。すごくうまい選手なのに、現状に満足せずに貪欲で、さらに上を目指しているのがかっこいいですね。あと、関西弁っていうのもポイントです(笑)」

――西川選手も関西出身(大阪府堺市)ですからね。

「はい。今は、あまり関西弁は出ませんけどね。宮侑は髪色とかビジュアルのかっこよさから入って(笑)。性格は強気だけど、スパイカーに対しては誠実で、努力もする。そういう姿がかっこいいです」

――ちなみに、ビジュアルを真似してみようと思ったことは?

「ありましたよ。宮侑みたいに前髪を分けて、上の方を茶色っぽくして、襟足部分を黒にして......でも、僕は直毛じゃないんで完全には似ないんです(笑)」

――先ほど、野球人生のつらい時に心の支えになったという話が出ました。西川選手はケガで長くリハビリをしていた時期(高校時代に大胸筋断裂の大けがを負い、プロ入り後もリハビリを続けながら試合に出場)がありましたが、その時も助けられましたか?

「何回も助けられています。リハビリ中って本当に精神的にキツいんです。気持ちが落ちて何もやる気が起こらなくなったりするんですが......烏野高校の田中(龍之介)が稲荷崎戦で苦しい状況になった時に『ところで平凡な俺よ 下を向いている暇はあるのか』と自分に問いかけるシーンがあるんですが、あのシーンを見たら自分も動かずにはいられないですね」

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